2007.11.08 Thursday
「海と日傘」とお茶漬け

これは市販のさけ茶漬けの素に、三つ葉とわさびを
加えたものです。そうすると、料亭で出てくるような
高級茶漬けの味になるんですよ。いや、ほんと。
かつて(ま、昭和やね)、お茶漬けといえば、
おかずが無くなり、お茶碗にご飯が残ってしまったとき、
お茶をかけてタクアンなんかをお供に、
食事を終わらせるものでした。
あるいは、なかなか食が進まないとき、
お茶漬けにして、ささっと口に流し込むものでした。
お茶漬けに、高級も並も無かったですね。
お茶漬けは、お茶漬け。
だから、お茶漬けというと、
なんか侘びしいような、ほっと落ち着くような。
そんなお茶漬けをすする音に、ぎゅっと心をつかまれたのが
今、東池袋の「あうるすぽっと」でやっている
「海と日傘」です。(10/30〜11/11)
さほど、期待しないで行ったら、これが良くてね〜、
まるで小津映画のような趣で、挨拶のような単純な会話と
なにげない日常の仕草が、潮が満ちてくるように、
胸に迫ってくるのですよ。
さして何も起こらないのに、いや起こっていても
ことさら波風を立てることなく、淡々と過ごす夫婦を
平田満さんと竹下景子さんが、好演していて
隣に住む大家さん夫婦もいい味出していて、
「よかじゃなかですか」「そうですか」
なんていう会話がたまりませんでした。
方言のもつあたたかみ、縁側にある機能的美しさ、
ちゃぶ台を囲んだときのやすらぎと緊張感。
しんと静まりかえった劇場内、お茶漬けをすする音だけが響き
会場のところどころから、鼻をすする音も聞こえてきて・・・
シンプルで眠くなるほど静かな舞台なのに、
なんでこんなにいいんだろうと思って、パンフレットを
買ったのだけど、作品解説はわずかでシナリオ抄録もなくて
そしたら、本として出版されていました。
岸田國士戯曲賞をとった作品だったんですね。
シナリオだけで、どれほどその良さに浸れるか
わからないけれど、お茶漬けのような素朴な味わいに、
魂が揺さぶられます。こってり系の後には特に。
-
| テレビ・映画・舞台 | comments(0) | - |



